コネクテッドカー通信特許訴訟でノキアが勝訴、ダイムラーは控訴の方針

インターネットへの常時接続機能を備えたコネクテッドカーに使用される通信技術をめぐり、フィンランドの通信機器大手ノキアが独自動車大手ダイムラーを特許侵害で訴えた裁判で、ドイツのマンハイム地裁は18日、ダイムラーに対しノキアが保有する特許技術の使用を禁じる差し止め命令を出した。ダイムラーは判決を不服として控訴する方針を示している。

ノキアが侵害を主張しているのは第4世代 (4G) モバイル通信規格に関する特許。同社は2019年3月、ダイムラーがコネクテッドカーの製造にあたり、ノキアが保有する2G~4Gの標準必須特許(SEP)を許可なく使用したとして、ドイツ国内で合わせて10件の訴訟を提起した。

ダイムラーはこれに対し、ノキアはコネクテッドカーに搭載する「テレマティクス・コントロール・ユニット(TUC)」と呼ばれる通信装置のサプライヤーへのライセンス供与を拒否していると反論し、欧州委員会に苦情を申し立てた。

これを受けてダイムラーにTUCを供給する独コンチネンタルの米国法人は同年5月、ノキアやスウェーデンのエリクソンなどが参加する特許プール「アバンチ」を相手取り、逆に米国で訴えを起こした。コンチネンタルはアバンチが不当に高いライセンス料を設定し、特許技術の供与にあたり公平、合理的かつ非差別的(FRAND)条件でのライセンス供与を義務づけた標準化団体のルールに違反していると主張している。

今回の判決は、ノキアが起こした10件の訴訟のうちの2件目。マンハイム地裁はノキアが保有する4Gの標準必須特許をめぐり、ダイムラーとサプライヤーは「正当な条件でライセンス供与を受けるための準備を怠っている」と指摘。ノキアが侵害を主張する特許技術の使用差し止めを命じた。

ノキアは声明で、「今回の判決により、当社がモバイル通信の標準必須特許を正当な方法でライセンスしているのに対し、ダイムラーがノキアの技術を無断使用していることが認められた」と強調。一方、ダイムラーは「判決を受け入れることはできない」とし、控訴する方針を表明した。

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