ロールス・ロイスが20億ポンド規模の資産売却へ、コロナ禍による需要減に対応

英航空機エンジン大手のロールス・ロイスは27日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で悪化した財務状況を改善するため、20億ポンド(約2,800億円)以上の資産を売却する方針を明らかにした。今後1年半以内にスペイン子会社のITPエアロなどを売却し、財務体質を強化する。

ロールス・ロイスは新型コロナ感染症の世界的流行に伴う航空需要の低迷で深刻な打撃を受けている。同社が27日発表した2020年1~6月期決算は、税引き前損益が53億7,000万ポンドの赤字となり、前年同期の7億9,100万ポンドの赤字から悪化した。航空機エンジンの販売が落ち込んで売上高が26%減の58億2,000万ドルに縮小する中、ジェットエンジン事業の評価損やリストラ費用に加え、為替ヘッジのコストがかさんだ。

売却対象のITPエアロはロールス・ロイスが全額出資する子会社で、ジェットエンジンのタービンブレードを製造している。他の資産も売却するほか、国内外の生産拠点を現在の11カ所から6カ所に集約する方針も打ち出した。

国際航空運送協会(IATA)は世界の航空需要がコロナ禍以前の水準に戻るのは早くて2024年との見通しを示している。こうした中でロールス・ロイスは5月、全従業員の2割弱にあたる9,000人を削減する計画を発表した。工場や不動産の売却などを含めた再編計画により年間13億ポンドの経費削減が期待できるとし、このうち人件費が約7億ポンドを占めると説明していた。ウォーレン・イースト最高経営責任者(CEO)によると、想定している9,000人のうち、既に民間航空機部門の4,000人が退職したという。

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