8月のユーロ圏インフレ率、16年5月以来のマイナスに

EU統計局ユーロスタットが1日に発表したユーロ圏の8月のインフレ率(速報値)は前年同月比で0.2%下落し、16年5月以来のマイナスとなった。エネルギーの値下がりに加え、ドイツが消費税率の引き下げでマイナスに転じたことなどが反映された。(表参照)

ユーロ圏では新型コロナウイルス感染拡大の影響で、インフレ率が2月から4カ月連続で縮小。5月は4年ぶりの低水準となる0.1%まで低下していた。その後は物価が持ち直し、7月は0.4%となっていたが、一気に下落に転じた。ドイツが景気対策として、消費税に相当する付加価値税の税率を7月に引き下げ、0.1%のマイナスとなったことや、フランスとイタリアでコロナ禍の影響で小売業の夏のセールが7月から8月にずれ込んだことが影響したとみられる。

分野別ではエネルギーが7.8%、工業製品が0.1%のマイナス。工業製品は前月に1.6%のプラスとなっていた。サービスはプラス0.7%。欧州中央銀行(ECB)が金融政策で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は0.4%のプラスとなったものの、上げ幅は前月の1.2%から大きく縮小した。

ドイツ以外の主要国は、イタリアが前月のプラス0.8%から0.5%のマイナスに転落。スペインが0.6%下落し、5カ月連続のマイナスとなった。フランスは0.2%のプラスだったが、上げ幅は前月の0.9%を大きく下回った。

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