アストラゼネカのコロナワクチン、米でも最終治験開始

英製薬大手アストラゼネカは1日、英オックスフォード大学と開発を進めている新型コロナウイルスのワクチンについて、米国でも最終段階の臨床試験(治験)を開始したと発表した。また、同国での早期承認を見込み、量産体制を強化することも明らかにした。

アストラゼネカとオックスフォード大が開発中のワクチン「AZD1222」は初期の臨床試験で、被験者の体内で新型コロナの抗体とT細胞による「強い免疫反応」が確認され、深刻な副反応も出ていない。すでに英国、ブラジルで最終段階の臨床支援が行われている。

米政府の支援を受けて同国で実施される最終治験は3万人が対象。4週間おきに2回投与し、予防効果や症状を軽度に抑える効果があるかどうかなどを確認する。10月までに結果が出る見通しだ。

アストラゼネカは今後、ロシアなどでも臨床試験を開始する予定で、治験者は世界の5万人に拡大することになる。4日には日本で約250人を対象とした第1・2相の臨床試験を開始したと発表した。同社は8月、日本政府に1億2千万回分のワクチンを供給することで合意していた。

同社は30億回分の生産を目指している。米国ではトランプ大統領が11月3日の大統領選までに新型コロナのワクチンの国内での接種を開始する意向を表明しており、アストラゼネカが開発に成功すれば緊急承認される可能性が高い。これに備えて同社は、オックスフォード大学から1995年にスピンオフしたバイオ医薬品会社のオックスフォード・バイオメディカとの供給協定を18カ月延長し、増産体制を強化すると発表した。追加の契約額は総額5,000万ポンド(約70億円)に上る。

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