アストラゼネカの新型コロナワクチン、EMAが逐次審査に着手

欧州医薬品庁(EMA)は1日、英アストラゼネカと英オックスフォード大が共同開発している新型コロナウイルスのワクチンについて、正式な承認申請に先立ち試験データを順次審査する「ローリングレビュー(逐次審査)」を開始したと発表した。欧州で承認される新型コロナワクチンの第1号となる可能性がある。

ローリングレビューは感染症の世界的流行をはじめとする緊急時に、必要なワクチンや治療薬を優先的に審査する制度。通常は臨床試験(治験)の最終データがまとまってから承認申請を行い、当局が審査を開始するが、同制度では最終的な試験結果を待たずに入手可能なデータから順次審査を進めることで、通常より短期間で審査手続きを完了することができる。

発表によると、すでにEMAの医薬品委員会(CHMP)が一部データの審査に着手している。EMAは現時点で全体的な審査スケジュールを予測することはできないとしたうえで、「審査手続きは通常より短縮されるはずだ」と強調した。逐次審査はワクチンの安全性と有効性を評価するための十分な科学的根拠が得られるまで継続され、審査が完了した段階でEMAが欧州委員会に承認の可否を提言。欧州委が提言をもとに正式決定する。

アストラゼネカとオックスフォード大のワクチンを巡っては、英国で実施されている最終段階の治験で被験者の1人に深刻な神経症状がみられたため、9月6日からすべての治験を一時中断した。しかし、独立委員会によるデータ分析で安全性が確認されたとして、英当局の許可を得て12日から治験を再開。ブラジルや南アフリカなどに続き、日本でも今月2日から治験が再開されている。

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