欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/4/7

EUその他

電力ケーブルのカルテルで制裁、日本企業も対象に

この記事の要約

欧州委員会は2日、欧州、日本、韓国の電力ケーブルメーカーが高圧電力ケーブルをめぐるカルテルを行っていたとして、対象12グループのうち11グループに総額3億163万9,000ユーロの制裁金支払いを命じたと発表した。日本企業 […]

欧州委員会は2日、欧州、日本、韓国の電力ケーブルメーカーが高圧電力ケーブルをめぐるカルテルを行っていたとして、対象12グループのうち11グループに総額3億163万9,000ユーロの制裁金支払いを命じたと発表した。日本企業はジェイ・パワーシステムズ、ビスキャス、エクシムが対象。これらに出資する住友電気工業、古河電気工業、フジクラなども、連帯責任として個別に制裁を科された。

問題となったのは、欧州の大型インフラ、洋上風力発電施設をはじめとする再生可能エネルギー開発などに使われる地下・海底高圧電力ケーブルでのカルテル。欧州委は2009年1月に関係各社への立ち入り調査を実施し、11年7月に異議告知書を送付していた。

欧州委によると、12グループは1999年から約10年間にわたって談合し、市場や顧客を分け合っていた。たとえば、日韓と欧州のメーカーは互いに相手の市場に進出することを避け、日韓メーカーが欧州の顧客からプロジェクト参加の打診を受けても応札しないことを取り決め、欧州のメーカーが入札価格などを調整しながら受注していたという。

制裁対象となったメーカーと制裁額は、伊プリズミアン(1億461万3,000ユーロ)、仏ネクサン(7,067万ユーロ)、ビスキャス(3,499万2,000ユーロ)、ジェイ・パワー(2,074万1,000ユーロ)、韓国のLSケーブル(1,134万9,000ユーロ)、仏サフラン(856万7,000ユーロ)、スイスのブルック(849万ユーロ)、エクシム(655万1,000ユーロ)、韓国のタイハン(622万3,000ユーロ)、デンマークのNKT(388万7,000ユーロ)、仏シレック(前サフラン、197万6,000ユーロ)。

このほか、スイスのABBもカルテルに関与したが、最初に通報して摘発に協力したことから、制裁を全額免除された。

ビスキャスの制裁額は、同社に出資する古河電気工業とフジクラの連帯責任。両社には、さらに単独で古河電気に885万8,000ユーロ、フジクラに815万2,000ユーロの制裁が課された。ジェイ・パワーの制裁も、親会社の住友電気工業と、今月1日まで出資していた日立金属の連帯責任で、住友電気には263万ユーロ、日立金属には234万6,000ユーロが別に課される。エクシムも同じく、出資する昭和電線ホールディングスと三菱電線工業の連帯責任で、単独の制裁は昭和電線が84万4,000ユーロ、三菱電線が75万ユーロとなる。

このほか、最大の制裁を課されたプリズミアンは、出資する米ゴールドマン・サックスと伊ピレリの連帯責任となり、ゴールドマンが3,730万3,000ユーロ、ピレリが6,731万ユーロを負担する。ゴールドマンの場合、投資目的で出資する会社に出資先のカルテルで制裁対象となるのは異例だが、欧州委は同社がプリズミアンの経営に大きな影響力を持っていたとして、責任があるとみなした。

NKTは今回の決定について、カルテルへの関与を否定し、欧州司法裁判所に提訴する構え。日本企業でも昭和電線、古河電気などが、決定内容を精査した上で対応を決めるとしており、提訴に含みを残している。