ユニリーバの本社一本化、英株主も承認

英・オランダ系の食品・日用品大手ユニリーバは12日、本社を英国に一本化する計画が英国法人の株主に承認されたと発表した。同計画はオランダ法人の株主が承認済みで、実現に向けて大きく前進した。ただ、オランダで多国籍企業の海外移転に巨額の特別税を課税する法案が成立すれば、撤回する可能性がある。

オランダのマーガリン会社と英国の石けんメーカーが統合して誕生したユニリーバは、1930年から両国に本社を置く二重構造となっている。これが迅速な意思決定などの障害になっているとして、18年3月にオランダに統合する計画を発表した。しかし、英国の主要株価指数「FTSE100」の構成銘柄から除外されるとの懸念が広がり、英国の機関投資家が猛反発したことから、同年10月に撤回した経緯がある。

同社は6月、こうした懸念を考慮し、ロンドンへの一本化に切り替える形で計画を復活させると発表していた。

オランダでは野党のグリーン・レフト(緑の党)が、売上高が7億5,000万ユーロを超える多国籍企業が海外に移転する場合に巨額の特別税を課す法案を国会に提出している。ユニリーバが本社を英に一本化すると110億ユーロを課税される見込みだ。

オランダの最高諮問機関である枢密院は9日、同法案は法的に問題があるとの判断を示していたが、法案は議会で支持を集めつつあり、可決の可能性がある。ユニリーバは11月29日の一本化手続き完了を目指しているが、法案が可決・成立した場合は計画を中止することも予想される。

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