ポーランドの電子商取引（EC）最大手アレグロが12日、ワルシャワ証券取引所に上場した。初日の取引は公募価格（43ズロチ）を大きく上回る65ズロチで開始。一時は71ズロチまで値上がりした。初値を基にした時価総額は660億ズロチ（174億米ドル）で、これまで最高だったゲーム開発企業CDプロジェクトを上回った。同国企業の新規株式公開（IPO）としては過去最大規模で、今年に欧州で実施されたIPOでも有数の規模となる。
アレグロは1999年の設立。1,230万人のアクティブユーザー数を誇る。これまで国内中産層の成長を追い風に、国内事業に注力して売上を拡大してきたが、ここ数カ月は国外進出を視野に入れたサービスを導入し始めている。製品の選択肢の拡大、デリバリーサービスの改善、決済サービス「アレグロ・ペイ」の強化も計画中だ。今回のIPOでは、新型コロナの世界的流行でオンライン購入する消費者が急速に増え、EC企業への投資意欲が高まっていることもプラスとなった。
今回売り出されたのは、新株約2,325万株と、投資会社のペルミラ、シンヴェン、ミッド・ヨーロッパ・パートナーズ（MEP）の投資会社3社および経営陣が保有していた1億9,029万株で、全体の約24％に当たる。
アレグロのIPOは、上場企業に占める国営企業の割合が高く、ここ数年取引額が低迷してきたワルシャワ証取にとっても朗報となった。衣料品のアンスウェアやモバイルゲーム開発のヒュージ、有料テレビのプラットフォームを手掛けるカナル・プラス・ポルスカなども年内にIPOを計画しており、取引活性化の期待が膨らんでいる。