英・オランダ系の食品・日用品大手ユニリーバは10月27日、本社を英国に一本化する計画を予定通り実施することを英、オランダ法人の取締役会が決めたと発表した。オランダで多国籍企業が海外に移転する場合に巨額の特別税を課す法案が提出されているが、英国のEU離脱に伴う混乱を避けるため、年内に実施するのが得策と判断した。
オランダのマーガリン会社と英国の石けんメーカーが統合して誕生したユニリーバは、1930年から両国に本社を置く二重構造となっている。これが迅速な意思決定などの障害になっているとして、ロンドンに一本化すると6月に発表。すでに英、オランダ法人の株主の承認を得た。
オランダでは野党のグリーン・レフト(緑の党)が、売上高が7億5,000万ユーロを超える多国籍企業が海外に移転する場合に巨額の特別税を課す法案を国会に提出している。ユニリーバが本社を英に一本化すると110億ユーロを課税される見込みだ。
ユニリーバは当初、同法案が可決された場合は計画の断念もあり得るとしていた。しかし、英国のEU離脱の移行期間が終了する12月末以降は、本社移転に関するルールがどのようになるか不透明で、EUの現行ルールが適用されるうちに実施したいとの判断から、法案が成立するかどうかの結果を待たずに完了させることを決めた。法案が成立しても、違法として無効化される可能性が高いことも考慮したという。
同社は11月29日付で本社を一本化する予定。11月9日に英国の裁判所に承認を申請する。