ロシア石油最大手の国営ロスネフチは2日、子会社サモトロルネフチェガスが石油生産で汚染された水域から石油の主成分である炭化水素を除去する新しい技術を開発し、成果を上げていると発表した。同社が開発したのは浮遊選鉱と空気揚水(エアリフト)を利用した環境浄化技術で、圧縮空気により水底の沈殿物から炭化水素を取り出すというもの。汚染箇所を自動的に把握するセンサー技術と組み合わせることで、現場での作業を効率的に行える。同技術の開発にはトムスク国立大学が協力している。
サモトロルネフチェガスはロシア最大の油田であるサモトロル油田の開発を手掛けている。同社は今年に入り、同油田の南部地域で、1.3ヘクタール以上に及ぶ石油随伴液の貯留池の浄化を実施。沈殿物内の石油含有量を40%以上減らし、標準値まで回復させた。同地域では1970年から82年にかけて大量に石油が生産されていた。
新技術は氷結した液体にも利用できることから、冬季を含む通年の除染作業が可能になる。サモトロルネフチェガスの生産地の多くは湖沼地帯にある。
同社がトムスク国立大学の生物学研究所と共同で行う同プロジェクトは政府の天然資源監督局から品質の認証を得ているほか、地質学会や非政府組織から環境改善事業として高い評価を受けている。
ロスネフチは2022年を目途とする環境と生物多様性の保護に向けた戦略の中で、環境回復に向けた活動を実施する地域を指定している。今年は該当地域にある100の湖沼で調査が行われた。同社は来年、土や水の異なる状態をセンサーで検知するマルチスペクトル画像法を用いて汚染地域を解析し、回復させる必要のある貯留池の存在を把握していく予定だ。