英でのデリバティブのスワップ取引、EUの銀行は1月から禁止に

EUの欧州証券市場監督機構(ESMA)は25日、域内の銀行によるデリバティブのスワップ取引について、EUまたはEU同等の規制が導入されている市場に限って認めるというルールを2021年1月以降も継続すると発表した。EUを離脱した英国の「移行期間」が12月末に終了することを受けたもので、英国での取引は1月から禁止されることになる。

EUでは金融商品市場規則(MiFIR)に基づき、域内の銀行はデリバティブのスワップ取引(金利スワップと企業の信用リスクを売買するクレジット・デフォルト・スワップ=CDS)をEUか、米国など規制がEUと同等と認められている市場の取引プラットフォームを通じて行うことが義務付けられている。

1月にEUを離脱した英国は、移行期間中は現状維持の関係が続いており、同ルールが適用される。しかし、来年1月以降は新たな関係に突入し、これまでのところEUが英国の規制を同等と認定していないため、ESMAの対応が注目されていた。

英国のEU離脱に伴うデリバティブ取引の問題をめぐっては、欧州委員会が9月、英国に拠点を置く清算機関がEU域内の顧客向けのデリバティブ取引決済業務を2022年6月末まで継続することを認めると発表していた。市場ではスワップ取引の規制についても一時的に緩和されるとの見方があったが、ESMAは応じなかった。

ESMAは今回の決定について、英国が独自に国内の銀行を対象とする同様のスワップ取引規則の導入を決めたことや、対象となる取引の規模が比較的小さいことを理由としている。ただ、英国で活動するEUの銀行が2つの異なる規制に挟まれ、混乱することは認めた。

欧州の金融業界では、EUと英国が互いに規制を同等と評価しあうことで、こうした混乱を避けるのが望ましいとの声が出ており、フランスでは当局と銀行の業界団体がESMAの決定を支持しないと表明した。しかし、EUは英国が離脱した後の規制環境が不透明で、同等性評価は難しいとの立場を維持している。

上部へスクロール