欧州委員会は26日、後発医薬品大手のテバ・ファーマスーティカル・インダストリーズ(イスラエル)が米製薬会社セファロン(現在はテバの子会社)と談合し、睡眠障害治療薬「モダフィニル」の後発薬発売を遅らせたのはEU競争法違反に当たるとして、両社に計6,050万ユーロの制裁金支払いを命じたと発表した。同様の問題でEUが制裁に踏み切るのは4件目となる。
問題となっているモダフィニルは、昼間の激しい眠気や睡眠発作を伴うナルコレプシーの治療薬。セバが2011年に買収したセファロンが開発した。セファロンにとって売上高の40%以上を占める主力医薬品だった。
欧州委によると、テバとセファロンは買収前の05年、テバが欧州市場でのモダフィニルの後発薬の発売を12年10月まで延期する代わりに、セファロンが対価を支払った。この行為で後発薬の投入が遅れ、欧州の患者、医療システムの負担を増やしたとして、厳しい制裁を科した。制裁金はテバが3,000万ユーロ、セファロンが3,050万ユーロ。
新薬を開発したメーカーが代償を払って後発薬の投入を遅らせる問題をめぐっては、欧州委が13年6月、デンマーク製薬大手のルンドベックが複数の後発薬メーカーと共謀し、同社の抗うつ剤「シタロプラム」の特許が失効してからも後発薬が出回るのを遅らせたとして、関係各社に総額約4億2,770万ユーロの制裁金支払いを命じた。13年12月には米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)がノバルティス(スイス)に対して、J&Jが開発した鎮痛薬の後発薬のオランダへの投入を遅らせたとして、総額1,630万ユーロの制裁金支払いを命令。14年には仏製薬会社レ・ラボラトワール・セルヴィエがテバを含むジェネリック5社と談合し、同社が開発した高血圧症治療薬「ペリンドプリル」の後発薬投入を遅らせたとして、総額約4億2,770万ユーロの制裁金支払いを命じた経緯がある。