フランスの財務省は25日、大手IT企業を対象とする「デジタルサービス税」を予定通り12月に再導入する意向を表明し、対象企業に2020年分の納税通知書の送付を開始したことを明らかにした。米政府が反発し、報復関税を課す事態が予想される。
欧州では世界的に活動する多国籍IT企業の課税逃れを防ぐため、デジタルサービス税を導入する動きが広がっており、フランスは19年7月に課税法案が成立した。ただ、米政府がグーグルなど「GAFA」と呼ばれる同国の巨大IT企業を狙い撃ちにした不当な課税として猛反発したため、経済協力開発機構(OECD)が検討している国際的なデジタル課税制度の実現を前提に、課税を中止することになった。
しかし、仏政府は10月、国際合意が遅れていることから、12月に徴税を開始すると発表していた。これによって売上高が全世界で7億5,000万ユーロ以上、仏国内で2,500万ユーロ以上のIT企業が、仏での売上高の3%に相当する額が課税される。
米通商代表部(USTR)は7月、フランスのデジタル課税に対抗し、13億ドル分の仏製品を対象に、関税を25%上乗せする報復措置を発動する意向を表明したが、交渉による課税取り下げを目指し、発動を2021年1月まで猶予する方針を打ち出していた。フランスが課税に踏み切ったことで、同措置が発動される可能性がある。