欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/9/22

西欧

バイエル樹脂部門を分離・上場へ

この記事の要約

製薬・化学大手の独バイエルは18日、樹脂部門バイエル・マテリアル・サイエンス(BMS)の分離・上場計画を発表した。同部門は収益力が弱く、以前から分離・売却観測が出ていた。バイエルは今後1年半以内にBMSの新規株式公開(I […]

製薬・化学大手の独バイエルは18日、樹脂部門バイエル・マテリアル・サイエンス(BMS)の分離・上場計画を発表した。同部門は収益力が弱く、以前から分離・売却観測が出ていた。バイエルは今後1年半以内にBMSの新規株式公開(IPO)を実施し、経営資源を製薬(ヘルスケア)、農業科学(クロップサイエンス)の2分野に絞り込む意向だ。

BMSは先端素材事業を束ねる子会社として2004年に設立された。だが、収益力は他の部門に比べて弱く、昨年はバイエルの売上高(402億ユーロ)の28%(112億ユーロ)を占めたのに対し、営業利益(EBIT)に占める割合は14%(4億3,500万ユーロ)にとどまった。売上高営業利益率は3.8%で、製薬部門の17.2%、農業科学部門の19.6%を大きく下回っている。

医薬品の研究開発には多額の資金を要する。また、バイエルは買収を通して製薬事業を強化しようとしている。収益力の弱いBMSを抱えていると、そうした取り組みに必要な資金を確保できないため、市場ではBMSの放出を求める声が強かった。

化学・製薬業界では1990年代後半、経営資源を製薬か化学のどちらかに絞り込む動きが活発化し、ほとんどの企業はその方向で事業の絞り込みを行った。だが、バイエルは多角経営路線を堅持。01年に製薬、農業科学、ポリマー、汎用化学の4部門からなる体制を打ち出していた。