BPが米カーボンオフセット事業者買収、低炭素エネルギー分野を強化

英石油大手BPは16日、カーボンオフセット事業を手がける米ファイナイト・カーボンの株式の過半数を取得したと発表した。金額や出資比率は公表していない。BPは事業活動で生じる温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする目標を掲げ、化石燃料への依存度を低減して総合エネルギー企業への転換を図る方針を打ち出している。ファイナイトの買収もそうした戦略の一環で、低炭素エネルギー分野の事業拡大を加速させる。

ファイナイトは土地所有者に金銭を支払って二酸化炭素(CO2)を吸収する森林の管理を支援し、創出された排出権(クレジット)を温室効果ガス削減目標の達成が困難な企業に売却する事業を展開している。現在は米国で50件の炭素プロジェクトを手がけ、土地所有者に5億ドル以上の収入をもたらしている。同社は30年までにこれを10億ドルに拡大することを目指している。

BPは19年にファイナイトに500万ドルを投資していた。買収後は米国以外での事業拡大を支援する方針を示している。

BPは石油需要の長期低迷を想定し、化石燃料に代わる新エネルギー分野に軸足を移して「顧客に最適なソリューションを提供する総合エネルギー企業」への転換を図る方針を打ち出している。8月には「50年実質ゼロ」を実現するため、30年までに石油とガスの生産量を4割縮小する一方、低炭素エネルギー分野への投資を現在の10倍(50億ドル)に拡大し、再生可能エネルギーによる発電量を2.5ギガワットから50ギガワットに増やす計画を発表した。

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