イタリア連立政権が存続の危機、レンツィ元首相派が離脱

イタリアで新型コロナウイルスからの経済の立て直しに向けた予算案を巡る対立が激化し、連立政権が存続の危機に直面している。連立の一角を占める少数政党「イタリア・ビバ」を率いるレンツィ元首相は13日、同党所属の閣僚2人の辞任と連立からの離脱を表明した。コンテ首相はコロナ禍での政権維持に向け、早急に対応を迫られている。

政府は12日の閣議でEU復興基金を活用した総額2,230億ユーロ(約28兆円)規模の新型コロナ復興計画の予算案を承認した。しかし、レンツィ氏は医療や教育への配分が不十分などと主張し、コンテ氏と対立。復興基金とは別に、欧州安定メカニズム(ESM)からも融資を受けるよう求め、要求が通らなければ党所属の閣僚を内閣から引き揚げると警告していた。

イタリア・ビバの離脱によって連立与党は上院で過半数を割り込むことになる。今後の展開としては、コンテ氏が野党の支持を取りつけて上院で過半数を維持するシナリオや、コンテ氏の辞任などが予想されている。一方、長引く新型コロナ対策で国民の不満が高まっており、コンテ政権の支持率が急速に低下しているため、解散総選挙が行われる可能性は低いとみられる。

レンツィ氏は記者会見で「政治危機はわれわれが引き起こしたものではない」と述べ、コンテ政権を批判。その一方、コロナ禍で支持を伸ばしている極右政党「同盟」との連携は否定したうえで、「次のステップはコンテ氏次第だ」と述べ、条件によっては連立政権に再び参加する可能性を示唆した。

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