アストラゼネカの欧州向けワクチン供給に遅れ、3月末まで当初予定の6割減

英アストラゼネカは22日、同社と英オックスフォード大学が共同開発した新型コロナウイルスワクチンについて、EU向けの初回供給量が当初の予定を大幅に下回ると発表した。ロイター通信によると、3月までの供給量が予定より6割削減されるという。EUでは米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンの供給も予定より遅れており、域内におけるワクチン接種キャンペーンに深刻な影響が出そうだ。

アストラゼネカは声明で「欧州サプライチェーン内の製造拠点における製造上の問題により、初回納品分が当初の予定を下回る見通し」と説明。そのうえで、「現在、増産を進めており、2~3月にはEU向けに数千万回分のワクチンを供給できるだろう」とコメントした。

具体的な供給量など詳細は明らかにされていないが、ロイター通信によると、3月末までの供給量は3,100万回分と、当初予定されていた8,000万回分から6割以上減らされる見通し。4~6月期については8,000万回分の供給で合意していたが、現在のところ供給目標が示されていないという。

欧州委員会のキリアキデス委員は22日、ツイッターへの投稿で、アストラゼネカからEUへの納入が遅れる旨の通知があったことを明らかにし、同社に対して安定供給を強く求めたと説明した。

EUは2020年8月、アストラゼネカとの間で同社のワクチンを最大4億回分購入することで合意したと発表した。ワクチンが承認されればまず3億回分を買い取り、さらに1億回分を追加購入できるという内容だ。欧州医薬品庁(EMA)は今月29日にも同ワクチンの販売承認を勧告する見通し。承認されれば、EUではファイザー/ビオンテック、米モデルナに次いで3例目となる。

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