塗料世界最大手のアクゾ・ノーベル(オランダ)は18日、フィンランド同業ティックリラに14億ユーロでの買収を提案したと発表した。米ガラス・塗料大手PPGインダストリーズによるティックリラ買収に横やりを入れた形となる。
PPGは2020年12月、ティックリラに11億ユーロでの買収を提案。1月初めに買収額を12億4,000万ユーロに引き上げ、ティックリラ取締役会の同意を取り付けていた。
これに対してアクゾは、1株当たり31.25ユーロでの買収を提案した。同価格はPPGが提示した27.75ユーロを約13%上回る水準だ。
ティックリラは声明で、アクゾの提案を検討するとコメント。PPGに買収価格を引き上げる機会を与える意向も表明した。これを受けて市場では激しい買収合戦に発展するとの観測が広がり、ティックリラの株価は同日に急騰し、アクゾの提示額を超えた。
アクゾはティックリラ側と買収で合意した場合、競争上の問題で関係当局から認可されない恐れがあるため、自社が北欧とバルト3国で展開する装飾用塗料事業をデンマーク同業のヘンペルに売却するとしている。
PPGとアクゾには、PPGが17年に買収を提案したが、アクゾが強く反発して拒否し、PPGが買収を断念したという因縁がある。