米モンデリーズの競争法違反問題、欧州委が本格調査に着手

欧州委員会は1月28日、米食品大手モンデリーズ・インターナショナルがEU市場におけるチョコレートやビスケット、コーヒーの販売で競争法に違反している疑いがあるとして、本格調査を開始したと発表した。モンデリーズが取引業者との契約で域内の国境をまたいだ販売を制限し、公正な競争を阻害している可能性があるとみている。同社の商慣行が競争法違反と認定された場合、年間売上高の最大10%の制裁金を科される可能性がある。

EU内では国によって食品や飲料の販売価格にばらつきがあり、消費者団体などは大手メーカーが取引業者に対して販売地域を限定したり、価格水準が低い国で仕入れた商品を価格水準が高い国で販売する、いわゆる並行貿易(parallel trade)を制限していることが主な要因と批判している。欧州委は2019年11月にモンデリーズに対する立ち入り調査を実施しており、今後の調査では同社の商慣行が単一市場における自由な商品の流通を妨げ、消費者に不利益をもたらしていないか詳しく検証する。

具体的にはモンデリーズが同社のチョコレートやビスケット、コーヒーを扱う取引業者との契約に、国境をまたいだ販売を禁止したり、販売できる市場を限定する条項を盛り込んでいないか、域内の複数の国で同社の商品を販売する業者に対して供給量を減らしたり、取引価格を引き上げていないかが焦点となる。このほか商品パッケージに使用する言語を制限したり、特定の市場への輸入を抑制する目的で業者への供給を拒否するなどの行為も問題視している。

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