1月のユーロ圏インフレ率、6カ月ぶりのプラスに

EU統計局ユーロスタットが3日に発表したユーロ圏の1月のインフレ率(速報値)は前年同月比で0.9%のプラスとなった。物価上昇は6カ月ぶり。ただ、ドイツが付加価値税(VAT)減税を打ち切るなど一時的要因によるもので、物価の基調は依然として弱いとの見方が多い。(表参照)

ユーロ圏ではコロナ禍に伴う消費の停滞などで、8月からインフレ率がマイナスとなっていた。12月は0.3%の下落だった。しかし、1月はドイツのVAT減税が12月末に終了したことや、サプライチェーンの混乱によるコンテナ海上輸送運賃の上昇が製品価格に転嫁されたことなどで上昇に転じ、インフレ率は11カ月ぶりの高水準に達した。インフレ率算出の際の各品目のウエイト(重要度)が、需要に応じて1月から変更されたことも影響したとみられる。

分野別ではエネルギーが4.1%のマイナスとなったが、下げ幅は前月の6.9%から縮小した。前月に0.5%のマイナスだった工業製品は1.4%上昇。サービスは上げ幅が0.7%から1.4%に拡大した。欧州中央銀行(ECB)が金融政策で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は1.4%で、前月の0.2%を大きく上回った。

主要国はドイツが1.6%、イタリアが0.5%、スペインが0.6%で、いずれもマイナスからプラスに転換。横ばいだったフランスは0.8%のプラスとなった。

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