スウェーデン自動車大手のボルボ・カーは2月24日、親会社である中国自動車大手、浙江吉利控股集団の子会社である吉利汽車と合併する計画を中止すると発表した。代わりにエンジンをはじめとするパワートレイン部門を統合し、電気自動車(EV)開発での協力を拡大するなど関係を強化する。
浙江吉利は2020年2月、傘下の吉利汽車とボルボの合併を検討していると発表。両社が共同の作業グループを結成し、合併の具体案をまとめることになった。誕生する新会社は吉利汽車が上場する香港証券取引所と、ストックホルム証券取引所に上場することを想定していた。
浙江吉利はボルボを18年にストックホルム証券取引所に上場する予定だったが、市況が悪化したことから先送りを決定。19年にはボルボと吉利汽車のエンジン部門を本体から切り離し、統合すると発表していた。同部門を両社の本体から分離することで、経営資源をEVに集中する体制を整えると同時に、エンジン関連資産の共有化や部品の共同調達によって次世代のHV用エンジンなどを低コストで開発、生産するのが目的だった。
こうした計画を深堀りし、合併に切り替えようとした背景には、両社が技術力と資金を共有し、EVへのシフトなど環境が激変する自動車市場での競争力を強化する狙いがあった。しかし、吉利汽車が単独で中国本土の上海証券取引所に上場する準備を始めたことから、合併協議が事実上、とん挫していた。
ボルボと吉利汽車は合併を断念するものの、姉妹会社として関係を強化し、エンジンやトランスミッション、ハイブリッドシステムなどパワートレイン部門を統合し、年内に新会社を設立する。また、EVやコネクテッドカー、自動運転車など次世代車の研究開発や資材調達などでの協力を拡大。新技術は浙江吉利傘下の英ロータス、マレーシアのプロトンや、両社が共同出資する「リンク・アンド・コー」ブランドの車種にも提供する。