欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/9/29

西欧

エールフランスがLCC増強を断念、労組の反発で

この記事の要約

欧州航空大手エールフランス─KLMは24日、格安航空部門の増強計画を撤回すると発表した。仏部門エールフランス航空の労組が反発し、ストライキが続いていることを受けたもので、計画を大幅に縮小し、フランスを拠点とする事業に限定 […]

欧州航空大手エールフランス─KLMは24日、格安航空部門の増強計画を撤回すると発表した。仏部門エールフランス航空の労組が反発し、ストライキが続いていることを受けたもので、計画を大幅に縮小し、フランスを拠点とする事業に限定して拡充する。これによって同社史上で最も長期化していたストは終結し、30日に全便運航が再開される見通しだ。

同社はライアンエアー、イージージェットといった格安航空会社(LCC)に押されて厳しい経営が続いていることから、打開策としてLCC部門トランサビアの強化する計画を8月に発表。これまではフランスとオランダだけがLCCの拠点となっていたが、新会社「トランサビア・ヨーロッパ」を新たに設立し、ドイツ、ポルトガルなどの空港も拠点とし、格安航空路線を拡充する方針を打ち出していた。

これに対してエールフランスのパイロットの労組は、LCCの拠点が国外に拡散することで雇用が減り、パイロットがトランサビア・ヨーロッパへの異動を迫られ、年俸が減るとして猛反発。9月15日からストに突入した。経営側は同計画の実施時期を遅らせるとう妥協案を提示し、歩み寄りを求めたが、労組は応じず、24日に月末までのスト続行を決めていた。

経営側はストによって約半数の便が欠航となり、1日につき2,000万ユーロの損失が生じているほか、スト長期化を懸念する政府の介入もあって、トランサビア・ヨーロッパ設立計画を撤回。代わってトランサビアのフランス部門の強化によってLCCを増強する方向に転換した。

これについて労組側は当初、トランサビアの拡充によって多くのパイロットが同社への移籍を迫られ、給料が減るとして反発し、移籍するパイロットがエールフランスと同等の待遇を受けることを要求。これに難色を示す経営側との協議が難航していることから、スト継続を打ち出していた。しかし、パイロットの主要労組は28日、協議は続けながらもストは30日に解除する意向を表明した。