ユーロ圏インフレ率、4月は1.6%に拡大

EU統計局ユーロスタットが4月30日に発表したユーロ圏の同月のインフレ率(速報値)は前年同月比1.6%となり、前月の1.3%を0.3ポイント上回った。インフレ率がプラスとなるのは4カ月連続。コロナ禍の影響で低迷していた消費者物価が、原油価格の急上昇など一時的要因で持ち直しており、欧州中央銀行(ECB)が目標とする2%に近づいてきた。(表参照)

ユーロ圏のインフレ率はコロナ禍による個人消費停滞で、20年12月まで5カ月連続でマイナスとなっていた。しかし、低迷していた原油価格の上昇や、ドイツで付加価値税(VAT)減税が12月に終了したことなどで1月から風向きが変わり、上昇が続いている。4月はエネルギーが10.3%上昇と、上げ幅は前月の4.3%から急拡大した。

ただ、物価の基調は依然として弱い。ECBが金融政策で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は0.8%で、前月から0.9ポイント縮小した。このため、ECBが金融緩和策を当面継続するのは確実だ。

ユーロ圏でインフレ率がマイナスとなっているのはギリシャ、ポルトガルだけ。主要国はドイツが2.1%、スペインが1.9%、フランスが1.7%、イタリアが1.0%の幅で上昇した。

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