EUがコロナ治療薬の開発促進強化、年内の5種承認を目指す

欧州委員会は6日、EU加盟国が連携して新型コロナウイルス感染症の治療薬の開発を促進し、共同調達する戦略を発表した。ワクチンによる感染予防だけではコロナ禍を終息できないとして、レムデシビルに次ぐ新たな治療薬の開発を支援し、承認手続きを迅速化して早期に域内に投入できるようにする。年内に5種類の治療薬を承認し、調達することを目指す。

EUが承認し、使用しているコロナ治療薬は米バイオ医薬品企業ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬「レムデシビル」だけ。現在は欧州医薬品庁(EMA)が米イーライ・リリーの「バムラニビマブ」など3種の「逐次審査」を行っている。

欧州委の戦略には、コロナ感染症の後遺症に有効な治療薬も含まれる。候補として10種類を特定し、6月までに有望な5種に絞り込んで開発を支援する。10月までに3種を承認し、さらに2種を年末までに追加承認するという具体的な目標を設定した。年末までの調達契約締結を見込む。

EUは新治療薬の臨床試験(治験)などに9,000万ユーロの支援を実施する。また、製薬会社の生産体制強化などに4,000万ユーロを投じる計画だ。

EUは今夏までに域内の成人の70%以上がワクチン接種を終えるという目標の達成に必要なワクチンを確保できる見通しだ。しかし、欧州委は「ワクチン接種は命を救うが、新型コロナ感染症を撲滅することはできない」(キリアキデス保健担当委員)として、治療薬の開発、確保に向けた取り組みを強化する。

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