欧州委がEU域内移動の制限緩和を提案、ワクチン接種者の検査・隔離を免除

欧州委員会は5月31日、EUが新型コロナウイルス対策として実施している域内の移動を制限する措置の緩和を加盟国に提案した。ワクチン接種が進み、新規感染者が減少傾向にあることを受けたもので、ワクチンの接種を受けた人などにウイルス検査と隔離を免除する。

EUではワクチン接種者とウイルス検査で陰性の人、コロナに感染して回復した人に「EUデジタルCOVID証明書」と呼ばれる共通証明書を発行し、観光など不要不急の旅行を含む域内間の移動を原則的に無制限で行えるようにする制度が7月から導入される見込み。欧州委の提案は、同制度の運用を視野に入れたものだ。

同案では渡航の14日前までにワクチン接種を完了した人の検査、隔離を免除する。各国の判断で、1回しか接種していない人も免除することができる。

コロナに感染して回復した人に関しても、PCR検査で陰性が確認されてから180日以内に旅行する際は、同措置を免除する。PCR検査、迅速抗原検査で陰性となった人は、検査結果の有効期間内の旅行であれば隔離が免除される。有効期間はPCR検査が72時間、迅速抗原検査が48時間。

免除対象者が同行する未成年者は、自身がワクチンを接種していなくても隔離が不要となる。6歳以下の子供は検査も免除される。

感染状況が悪化するなど緊急事態に陥った際は、各国の判断で渡航者に検査、隔離を再び義務付けることができる。

欧州委は加盟国の感染状況を新規感染者数、検査での陽性率などを基準に「緑」「オレンジ」「赤」「ダークレッド(暗赤色)」の4つに色分けし、各国にリスクの度合いに応じた渡航制限を要請している。最も安全な緑は現在、マルタだけで、他の加盟国は無制限で同国からの旅行者を受け入れる。最も危険なダークレッドの国については、他の加盟国への不要不急の渡航の自粛、渡航先での検査、隔離が求められる。

欧州委は今回、オレンジと赤の色分け基準の緩和も提案した。オレンジは過去14日間の人口10万人当たりの新規感染者数50人未満、赤は同50~150人となっているが、それぞれ75人、75~150人とする。

加盟国は5月24、25日に開いた首脳会議で、欧州の新型コロナ感染が落ち着きつつあることから、域内間移動に関する制限を緩和することで合意していた。これを受けて、欧州委は今回の提案をまとめた。

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