イタリアの運輸インフラ会社アトランティアは10日、高速道路運営子会社アウトストラーデ・ペル・イタリア(ASPI)を伊政府系金融機関の預託貸付公庫(CDP)が率いる連合に売却することで合意したと発表した。同取引はジェノバの高速道路の崩落事故に関するASPIと親会社アトランティア責任を追及する政府の主導でまとまったもので、ベネトン一族の経営権がはく奪され、事実上、国有化されることが決まった。
CDPは米投資会社ブラックストーン、豪投資銀行マッコーリーと共同で設立する新会社を通じて、ASPIの株式88%を93億ユーロで取得する。新会社の持ち株比率はCDPが51%、ブラックストーンとマッコーリーがそれぞれ24.5%。2022年6月末までの取引完了を予定している。
伊国内最大の高速道運営会社であるASPIをめぐっては、43人の死者を出した2018年の高速道高架橋崩落事故での責任問題が浮上。親会社のアトランティアと、同社を支配するベネトン一族に批判の矛先が向けられ、政府はASPIの道路運営権をはく奪することをちらつかせ、アトランティアとベネトン一族にアウトストラーデの経営から手を引くよう迫っていた。