EUのワクチン輸出規制、9月末まで延長か

EUは域内で製造された新型コロナウイルス用ワクチンの輸出規制を延長する方針だ。欧州委員会の報道官が22日に明らかにしたもので、6月末となっている期限を3カ月延長し、9月末まで実施する。

同報道官によると、加盟国は輸出制限の延長を支持しており、近く欧州委が正式発表する予定だ。

EUは新型コロナワクチンの調達契約を結んだ製薬会社による供給が予定より遅れ、域内でのワクチン接種が思うように進んでいなかったことから、域内で製造された新型コロナワクチンの域外への輸出を1月30日から許可制にしている。EUとワクチン供給契約を結んでいる製薬会社は、域内の工場で製造したワクチンを域外に輸出する際、生産拠点がある国の政府とEUの許可を得る必要がある。

当初はEUと事前契約を結んだ製薬会社が、契約を順守して域内に供給しているかどうかが輸出許可の判断基準となっていたが、3月に基準を強化し、「互恵性」と「つり合い」も承認の基準とすることを決めた。互恵性では輸出先の国が自国内で製造されたワクチン、原材料を囲い込み、輸出を制限していないかどうかをチェックし、問題があると判断すれば輸出を差し止める。つり合いは対象国の新型コロナ感染状況、ワクチン接種率をEUと比較し、ワクチン供給の重要性がEUより低いと判断すれば差し止めを検討する。

輸出規制は3月末までの予定だったが、EUは6月末まで延長していた。これが再延長されることになる。

同措置には国際社会からワクチン囲い込みとの批判が出ており、これまでに不許可となったのは1回だけ。アストラゼネカが伊国内で製造したワクチンのオーストラリア向け輸出(約25万回分)を3月に差し止めたケースだ。

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