ECB、銀行の配当上限を撤廃へ

欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏の銀行による株主配当の上限を10月に撤廃する方針だ。新型コロナウイルス感染拡大による銀行の経営環境悪化を懸念し、同制限を勧告の形で実施してきたが、状況が改善に向かっていることから正常化する。

同方針はECB銀行監督委員会のエンリア委員長が1日、欧州議会で明らかにしたもの。現在は銀行の配当総額は過去2年間の利益の15%、または中核自己資本比率(CET1比率)の0.2%のどちらか低い方が上限となっているが、10月から制限をなくす。

ECBは20年3月、ユーロ圏の銀行に19~20年分の株主配当を控えるよう要請した。新型コロナウイルスの感染拡大で銀行の業績悪化が懸念される中、資本を温存して不良債権増加に備えるとともに、企業・個人への融資を優先させる狙いがあった。

しかし、銀行の収益が20年下期から改善していることから、財務の健全性を維持できることを条件に、上限内での配当の再開を21年1月に勧告していた。

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