米衣料品大手ギャップは6月30日、英国とアイルランドで展開する直営店やアウトレット計81店舗を9月末までに閉鎖すると発表した。フランスとイタリアでも店舗売却について協議中という。経営効率化に向けた戦略見直しの一環で、今後はオンライン販売に軸足を移す。
ギャップは1987年に英国に進出し、欧州市場に本格参入した。アイルランドには2006年に初出店していた。20年には欧州各地で137店舗を運営していたが、21年1月末時点の店舗数は117となっている。なお、フランスとイタリアでは現在、直営店をそれぞれ21店舗、11店を運営している。
ギャップは旗艦ブランド「ギャップ」のほか、「バナナ・リパブリック」や「オールドネイビー」などを展開している。同社は昨年10月に23年までの中期経営計画を打ち出し、北米では全店舗の3分の1程度に相当する350店舗を閉鎖する方針を発表。欧州については英国、アイルランド、フランス、イタリアで展開する約120店舗について、「外部との提携を検討中」と説明していた。
衣料品業界は新型コロナウイルス感染拡大で深刻な打撃を受けたほか、eコマース主体の新興ブランドの台頭などで競争が激しさを増している。ギャップではオンライン販売が成長を続ける一方、実店舗での販売が売上高に占める割合は17%(21年2~4月期)まで低下していた。