ECBが「デジタルユーロ」導入の準備加速、2年かけて本格調査実施

欧州中央銀行(ECB)は14日、中銀デジタル通貨(CBDC)の「デジタルユーロ」発行に向けた本格的な調査を開始すると発表した。世界的にCBDC発行の動きが活発化する中、ユーロ圏でも導入の準備が加速する。

ECBは2020年10月、独自のデジタル通貨を発行する計画の準備に着手。専門家などから意見を聞くとともに、実証実験も行ってきた。その結果、大きな技術的な障害がなかったことから、政策理事会が実現に向けて本格的な調査を開始することを承認した。

調査期間は2年。関連企業やEUの欧州委員会などと連携し、利用のしやすさ、ユーロ圏の金融市場に及ぼす影響、マネーロンダリング(資金洗浄)をはじめとする不正行為への悪用防止などの観点から制度設計に取り組む。必要となるEUレベルの法整備にも着手する。

CBDCは法定通貨と同様の価値があり、信用力が極めて高い。ECBはユーロ圏で電子決済の需要が急増する中、同分野が民間企業だけに支配されるのは好ましくないとして、デジタルユーロ発行に動き出した。あくまでも現金を補完する役割にとどめると強調している。また、本格的な調査開始はデジタルユーロ導入が決まったことを意味するものではなく、調査を経て可否を最終判断すると釘を刺した。

ECBのパネッタ専務理事によると、2年間の調査を経て発行が決まったとしても、発行は3年後になる見通しだ。

国際決済銀行(BIS)によると、世界の中銀の86%がCBDC発行を検討しており、スウェーデン中銀などを含む14%が試験運用を行っている段階にある。

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