化学大手の独BASFは21日、電気自動車(EV)用電池の分野でフォルクスワーゲン(VW)の高級スポーツ車子会社ポルシェと提携すると発表した。電池の正極材を供給するほか、電池残材のリサイクルを引き受ける。ポルシェの電池セル製造子会社セルフォース・グループの独占パートナーに選ばれた。
ポルシェは独自の電池生産に乗り出す方針で、このほどフラウンホーファー研究所からスピンオフしたカスタムセルズと合弁会社セルフォース・グループを設立した。ポルシェが株式の約84%を握っている。ポルシェはVWグループから電池の供給を受けるものの、一部の車両に搭載する電池は自社生産する。
セルフォースはドイツのテュービンゲンで2024年から電池生産を開始する。生産能力は当初100メガワット時(MWh)の予定。これは車両1,000台分の電池に相当する。
BASFはセルフォースにエネルギー密度を高めるとともに、充電時間を短縮する高性能正極材を供給する。フィンランド南西部のハルヤヴァルタ工場で加工した原料を用いて独東部のシュヴァルツハイデ工場で正極材を生産する。
このほかBASFは、セルフォースの工場で発生する残材を引き取り、シュヴァルツハイデ工場内にある電池リサイクリングのパイロット施設でリチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを再生し、自社の正極材生産に投入する。