欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2021/8/2

EU情報

4~6月のユーロ圏GDPは2%増、3四半期ぶりプラス成長に

この記事の要約

EU統計局ユーロスタットが7月30日に発表した2021年4~6月期のユーロ圏の域内総生産(GDP、速報値)は実質ベースで前期比2.0%増だった。プラス成長となるのは20年7~9月期以来3四半期ぶり。新型コロナウイルスワク […]

EU統計局ユーロスタットが7月30日に発表した2021年4~6月期のユーロ圏の域内総生産(GDP、速報値)は実質ベースで前期比2.0%増だった。プラス成長となるのは20年7~9月期以来3四半期ぶり。新型コロナウイルスワクチン接種の普及、経済・社会活動の制限緩和で経済の正常化が進み、景気後退(2四半期以上連続のマイナス成長)から脱した。

前年同期比では、比較対象となる20年4~6月期にコロナ禍の影響で12%近いマイナス成長となった反動で、13.7%増と大幅に伸びた。EU27カ国ベースのGDPは前期比2.0%増、前年同期比13.2%増だった。(表参照)

ユーロ圏では新型コロナウイルス感染拡大を受けて各国で実施された経済・社会活動を制限する措置の影響で、20年1~3月期、4~6月期にマイナス成長となった。7~9月期は感染状況がやや落ち着き、制限措置が緩和されたことで前期比12.4%増と持ち直したが、と10~12月期、21年1~3月期は感染再拡大で多くの国が再び制限を強化したため低迷し、再び景気後退入りしていた。

4~6月期は経済正常化が進み、成長率は市場の予想を上回り、米国の前期比1.6%、中国の同1.3%を超えた。コロナ禍に直面してから米中の成長率を上回るのは初めてだ。

ユーロ圏主要国の前期比の伸び率はドイツが1.5%、フランスが0.9%、イタリアが2.7%、スペインが2.8%。コロナ禍の影響がとくに深刻だった南欧諸国の復調が目立つ。ポルトガルは4.9%で、データが出そろっているEU11カ国で最高の水準だった。ドイツはプラス成長に転換したものの、半導体など部品、生産資材がサプライチェーン混乱で不足し、自動車産業を圧迫したため、主要国で唯一、予想を下回った。

ユーロ圏のGDPは、まだコロナ禍前の水準まで回復していない。インド型(デルタ型)変異ウイルスの感染拡大という不安要素もある。それでも、観光再開が進んでいることなどで、今後も景気回復が続くと期待する声が多い。EUの欧州委員会は7日に発表した最新経済予測で、ユーロ圏の21年の予想成長率4.8%とし、前回(5月)の4.3%から上方修正。GDPが10~12月期にはコロナ禍前の水準に回復するとの見通しを示した。