英政府は22日、国営化している大手銀行ナットウエスト(旧ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド=RBS)の再民営化計画を発表した。8月から1年間をかけて政府が保有する株式を売却し、持ち株比率を50%未満に引き下げる。
ナットウエストは社名がRBSとなっていた2008年、世界金融危機で経営不安に陥り、英政府が総額455億ポンド(約6兆9,000億円)の公的資金を注入して救済し、国営化した。政府は現在、株式54.7%を保有している。
財務省によると、持ち株の一部を8月12日から2022年8月11日までの1年間に段階的に市場で売却する計画。同期間に市場で売買されるナットウエスト株の15%(数量ベース)が売却の上限となる。売却はモルガンスタンレーに委託し、政府が妥当と判断する価格で手放す。過去3カ月間の取引状況に基づくスイス金融大手クレディ・スイスの試算では、発行済み株式の8.8%に相当し、売却額は約20億ポンドに上る見通しだ。
ナットウエストの株価は今年に入って23%上昇したが、政府が国営化した際の5.02ポンドを大きく割り込んでいる。向こう1年間で株価が急騰しなければ、政府に損失が生じることになる。