スペインのエネルギー大手イベルドローラは21日、洋上風力発電事業の分離を検討していることを明らかにした。同社は世界的なクリーンエネルギー需要の拡大に対応するため、再生可能エネルギー事業や次世代送電網事業を強化する計画で、外部から資金を調達しやすくするのが狙い。ただ、あくまでも検討段階で、決定には至っていないと強調している。
イベルドローラは昨年、2025年までに再生可能エネルギー事業や送電網の整備などに750億ユーロ(約9兆7,600億円)を投じる計画を発表した。再生可能エネルギーによる発電量を19年の32ギガワットから25年までに60ギガワットに増やし、純利益を34億ユーロから50億ユーロに引き上げるとの目標を掲げている。
同社は英国とドイツで合計発電容量1.3メガワットの洋上風力発電所を運営しているほか、欧州で2.6ギガワットの発電所を建設中。ゴールドマン・サックスのアナリストは、同部門の事業価値を150億~200億ユーロと見積もっている。
イベルドローラのイグナシオ・ガラン会長兼最高経営責任者(CEO)はアナリストに対し、洋上風力発電事業は日本、ポーランド、スウェーデン、アイルランド、韓国、台湾、オーストラリアなどの新市場で成長機会があると指摘。同事業の分離について「かなり詳細に」検討しているものの、決定はしていないと強調したうえで、「(分離は)既に分析を進めているシナリオで、われわれは内部に隠れた価値があると考えている」と述べた。
一方、イベルドローラは同日、ベトナムで再生可能エネルギー事業を展開するソウィテック・ベトナムを買収したと発表した。同社は現在、ベトナム国内で5つの陸上風力発電所と浮体式太陽光発電システムの開発を進めている。