ジョージア、モルドバ、ウクライナの3カ国は19日に首脳会談を行い、親欧州連合(EU)の姿勢を明らかにした共同宣言を発表した。宣言では欧州への統合を進めるための相互協力を推進し、平和で民主的な欧州の繁栄に向け協力する内容が盛り込まれている。
ジョージアの黒海沿岸の都市バトゥーミで開催された首脳会談には3首脳のほか、EUのミシェル大統領(欧州理事会常任議長)も出席した。
ジョージアのズラビシヴィリ大統領は会談後、3カ国は国家主権と領土侵害、安全保障に対する脅威、国内外の圧力による不安定化の試みなど共通の課題を抱えていると指摘。3カ国がロシアの圧力にさらされた歴史的経緯を踏まえ、過去には戻らず欧州との未来を手にするために戦う決意だと述べた。
3カ国が抱える領土問題をめぐり、ロシアはこれまでEU加盟阻止を目的に武力介入してきた。ウクライナは親ロシアのヤヌコビッチ元大統領の時代に世論に反して、EUが旧ソ連諸国との協力関係を強化するための戦略「東方パートナーシップ」から距離を置いたが、「マイダン革命」によって同大統領が失脚した。その後にロシアは同国への介入を強め、クリミア半島を併合したほか、東部のドンバス地域の分離派を支援しており、7年に及ぶ軍事紛争に至っている。ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、ロシアが一方的に国家承認しているジョージア西部のアブハジアとの国境を訪問し、ロシアの介入に対抗する姿勢を示した。
東方パートナーシップをめぐっては、ベラルーシのルカシェンコ大統領が6月、パートナー国としての立場を留保すると発表した。背景には、昨夏に実施された大統領選挙における不正行為や民主化を求めるデモの弾圧に対してEUが導入した制裁措置や、最近では航空機を強制着陸させ反体制派ジャーナリストを拘束したことに対する制裁強化などへの反発がある。
モルドバでは昨年末に就任したサンドゥ大統領率いる「行動と団結」党がEUへの接近を掲げてこの7月の議会選挙で勝利した。またジョージアとウクライナはEUと北大西洋条約機構(NATO)への加盟を一貫して求めている。