EUの欧州医薬品庁(EMA)は16日、スイス製薬大手ロシュの抗リウマチ薬「アクテムラ」を域内で新型コロナウイルス感染症の治療薬として緊急使用する方向で審査を開始したと発表した。10月中旬をめどに審査を終え、問題がなければ新型コロナ患者の治療に投入する。
EMAによると、アクテムラ投与の対象となるのは新型コロナに感染し、入院中の重症患者。これまでの治験の結果などに基づいて審査し、緊急使用の可否を判断する。
アクテムラは2月に行われた大規模な治験で、新型コロナの重症患者の死亡率を大きく下げ、回復を早める効果が確認されていた。6月には米食品医薬品局(FDA)が緊急使用を承認した。
EUで新型コロナの治療薬として承認されているのは、米バイオ医薬品企業ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬「レムデシビル」だけ。現在は英グラクソ・スミスクライン(GSK)が米ヴィル・バイオテクノロジーと共同で開発した新型コロナウイルス治療薬「ソトロビマブ」、米イーライ・リリーの抗リウマチ薬「オルミエント」などの承認に向けた審査を行っている。