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2021/8/30

EU情報

ドイツ総選挙まで1カ月、「敵失」でSPDが優勢に

この記事の要約

9月26日の連邦議会選挙(総選挙)まで1カ月となったドイツで、中道左派の社会民主党(SPD)がメルケル首相の保守与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)を抑え、支持率でトップに立った。SPDの首相候補であるショル […]

9月26日の連邦議会選挙(総選挙)まで1カ月となったドイツで、中道左派の社会民主党(SPD)がメルケル首相の保守与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)を抑え、支持率でトップに立った。SPDの首相候補であるショルツ財務相が次期首相の有力候補に浮上している。

調査機関フォルサが24日に公表した最新の調査結果によると、SPDの支持率は前週より2ポイント高い23%で、1ポイント減の22%となったCDU・CSUを上回った。SPDが首位に立ったのは今回の選挙戦で初めて。緑の党が18%(1ポイント減)で3位につけた。

これまで苦戦を強いられていたSPDが首位に浮上した直接のきっかけは、7月にドイツやベルギーを襲った大規模な洪水。CDU・CSUの首相候補であるラシェット氏が被災地を視察した際、関係者と談笑する姿が大きく報じられ、批判が集中した。CDU・CSUと首位を争っていた緑の党も、首相候補のベーアボック共同党首に著書の盗作疑惑が発覚して失速。その結果、安定感のあるショルツ氏の人気が高まり、SPDの支持率も上昇したとみられる。

選挙戦はCDU・CSUと緑の党がリードする展開だったが、「敵失」で終盤にSPDが支持を拡大したことで三つ巴の混戦状態となっており、次期政権の枠組みは見通せない状況だ。新型コロナウイルスへの対応や経済対策に加え、アフガニスタンからの難民への対応なども各党の支持率に影響する可能性がある。

ドイツでは2005年から約16年にわたり、メルケル氏が政治のかじ取りを行い、内政と国際政治の舞台でともに大きな存在感を示してきた。メルケル氏は総選挙後の政界引退を表明している。