英モリソンズ争奪戦が過熱、米ファンドが買収額引き上げ

米投資ファンドのクレイトン・ダビリアー&ライス(CD&R)は19日までに、英スーパー4位モリソンズへの買収提示額を70億ポンド(約1兆490億円)に引き上げた。モリソンズは7月、ソフトバンクグループ傘下の米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループなどが提示した買収案を受け入れることで合意していたが、モリソンズ取締役会はCD&Rの新たな買収案への支持を表明している。フォートレス側がさらに提示額を引き上げる可能性もあり、モリソンズを巡る買収合戦の行方は不透明だ。

19日の発表資料によると、CD&Rはモリソンズに対し1株当たり285ペンスでの買収を提案した。CD&Rは6月に55億ポンド(1株当たり230ペンス)の買収案を提示したが、モリソンズは過小評価されたとしてこれを拒否した経緯がある。7月にフォートレスやカナダ年金制度投資委員会(CPPIB)などの投資グループが63億ポンド(1株当たり254ペンス)を提示し、モリソンズがこれに同意。フォートレスなどはその後、買収額を67億ポンド(1株当たり272ペンス)に引き上げていた。

今回の動きを受け、フォートレスは「選択肢を検討している」とのコメントを発表。モリソンズの株主に対し「いかなる行動も起こすべきではない」と訴えた。

モリソンズは1899年創業。英全土で約500店舗を展開しており、オンライン販売にも力を入れている。地元メディアによると、同社は約380億ポンドの資産を持つ。欧米でスーパーマーケット事業に投資しているほか、英国では300以上のガソリンスタンドを保有している。

モリソンズは10月初めに株主総会を開き、CD&Rの買収案について採決を行う。アンドリュー・ヒギンソン会長は「モリソンズの取締役会はCD&Rからの提案が株主にとって価値あるものであると同時に、すべての利害関係者にとってモリソンズの本質的な要素を保護するものだと考えている」とコメントした。

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