リチウム生産で世界最大手の中国企業ガンフォン・リチウム(贛鋒鋰業)は25日、英同業バカノラ・リチウムを買収することで最終合意したと発表した。電気自動車(EV)用電池に使われるリチウムの需要が急増する中、バカノラがメキシコで保有するリチウム鉱床を取得し、資源を大きく拡大する。
バカノラに28.9%を出資するガンフォンは5月、残る株式を1株当たり0.675ポンドで取得すると提案した。同価格は直近の株価に50%を上乗せした水準だったが、バカノラの一部の株主が同社の価値を過小評価しているとして反発し、合意を取り付けることができなかった。
ガンフォンは買収条件を変更し、株主が現金支払いのほか、バカノラが36%を出資する独リチウム生産会社チンワルド・リチウムの株式をバカノラの株式1株につき0.23589株の割合で受け取ることを提案した。これによって1株当たりの買い取り価格が0.736ポンドに上昇する。バカノラの企業価値を2億8,480万ポンド(約430億円)と評価した格好となる。
同条件を大株主の英ファンドなどが受け入れたことから、バカノラは買収に合意し、全株主に株式公開買い付け(TOB)に応じるよう勧告した。
バカノラはメキシコのソノラ州にある世界最大級のリチウム粘土鉱床の採掘権を保有している。23年に採掘開始の予定だ。
ガンフォンはリチウム資源を確保するため買収が活発化しており、アルゼンチンのリチウム鉱山を保有するカナダのミレニアル・リチウムを3億4,300万カナダドル(約300億円)で買収したばかり。6月にはアフリカのマリ共和国にあるリチウム鉱山の権益50%を1億3,000万ドルで取得していた。