タリバンとの関係構築に向け5要件、EUが非公式外相会議で合意

EUは3日、議長国スロベニア北西部のクラーニで非公式の外相会議を開き、アフガニスタン情勢について協議した。イスラム主義組織タリバンが近く樹立する見通しの新政権について、人権の尊重やアフガニスタンがテロ組織の拠点にならないようにするといった基準をもとに、EUとして今後どのように関わっていくか判断する方針を確認した。

ボレル外交安全保障上級代表(外相)は会議後の記者会見で「アフガニスタンの人々を支援するため、新政権と関係を構築していかなければならない。ただし、これは承認を意味するわけではなく、実務を行うための関与だ」と強調。そのうえで、新政権を評価する基準として◇人権や法の支配、報道の自由の尊重◇国際的なテロ活動の抑止◇国の多様性を反映した政権づくり◇自由な人道支援活動の保障◇出国を希望する外国人やアフガン人の国外退避の容認――の5項目を挙げ、実際の行動を見極めてEU側の対応を決める考えを示した。

ボレル氏は「タリバンはこうした基準を満たさなければならない。タリバンの行動次第でEUの関与は増えるだろう」と発言。治安情勢が許せば首都カブールにEUの拠点を置き、タリバンと接触することで加盟国が合意したと明らかにした。

加盟国はアフガニスタンから欧州に大量の移民が流入する事態を回避するため、周辺国との連携を強化する方針も確認した。ボレル氏はアフガニスタン情勢の安定化に向け、EUと周辺国が共同で「政治対話プラットフォーム」の構築を目指す考えを示した。

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