シェル、25年までに英5万カ所にEV充電設備設置

英・オランダ系石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルは1日、2025年末までに英全土の5万カ所に電気自動車(EV)用路上充電設備を設置する計画を発表した。首都ロンドンでは充電設備が急速に増えているが、全国規模で普及拡大を図るため、地方自治体が進める充電網整備を資金面で支援する。

シェルは2月にEV用充電設備を開発・運営する独ユビトリシティを買収しており、同社を通じて英国での充電網拡充を実現する。ユビトリシティは現在、英国で約3,600カ所に路上充電設備を導入している。

英政府は50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。気候変動対策の目玉としてEVの普及を後押ししており、昨年には30年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止する方針を打ち出した。充電インフラの拡充がEV普及の鍵を握るため、政府は地方自治体が路上や住宅向け充電設備を設置する際、費用の75%を国が補助する制度を導入しているが、残り25%は自治体が負担しなければならないため、全体として整備が進んでいないのが実情。そこでシェルはユビトリシティの設備を導入する自治体に対し、一定の条件で資金支援を行い、英全土で路上充電設備の普及拡大を狙う。

英国では現在、約2万5,000カ所に充電設備が設置されている。政府の諮問機関である気候変動委員会(CCC)が6月に公表した報告書によると、25年までに国内で15万カ所の公共充電設備を設置する必要があるとされる。シェルが今回打ち出した計画を実現すると、需要の3分の1を満たすことになり、同社の市場シェアは大きく拡大する。

シェルは昨年4月、50年までに自社のエネルギー事業による温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を発表した。今年2月には目標達成に向けた脱炭素戦略をまとめ、世界各地に設置するEV用充電設備を現在の約6万カ所から25年までに50万カ所に拡大する計画を打ち出している。

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