高級乗用車大手の独BMWは2日、環境・資源対策の強化戦略を発表した。車両が排出する二酸化炭素(CO2)の量をこれまで以上に削減するとともに、リサイクルされた再生材料の投入比率を拡大する。
BMWグループの車両が排出するCO2のうち、走行に起因するものは全体の70%以上を占めている。同社はこれを踏まえ、走行に伴う排出を重点的に削減。車両1台当たりの同排出量を2030年までに19年比で少なくとも50%引き下げる。製品ライフサイクル全体での排出削減量については40%以上を目指す。
排出量の削減に向けては電気自動車(EV)の販売を強化する方針で、今後10年でEVを約1,000万台販売することを目指す。30年にはEV販売比率を少なくとも50%に引き上げる。
自動車には金属やプラスチックなどの一次原料が大量に使用されている。これらの資源は量が限られている上、採掘の際に大量のCO2が排出されることから、今後は再生材料の使用量を拡大。温暖化防止に貢献するとともに、一次原料の不足と価格高騰に対応できるようにする。
車両への再生材料投入比率は現在の30%弱から50%へと引き上げていく。これを通じて製品ライフサイクル全体のCO2排出削減も図る。
プラスチックのリサイクル拡大に向けては、廃棄物処理大手のALBA、化学大手BASFとパイロットプロジェクトを実施する。ALBAはBMWの廃車を分析してプラスチック部品を車載部品として再利用できるかどうかを調査。BASFは熱分解油の製造に向け、分別された廃プラスチック部品の化学的リサイクルの可能性を評価する。
リサイクル比率を高めるためには、車両をリサイクルしやすくする必要があることから、BMWは解体しやすい車両を設計するほか、部品点数の削減や単一素材部品の使用拡大を図る。同社の車両には現在、8,000~1万種類の素材が用いられている。