ハンガリー、ガスプロムと長期供給契約

ハンガリー政府は8月30日、天然ガス世界最大手のロシア国営ガスプロムと天然ガスの長期供給契約について合意したと発表した。契約期間は15年で、10年間の延長が可能。新契約は今年10月1日に発効する予定だ。

ハンガリーのシーヤールト外務貿易相によると、ガス供給量は年間45億立方メートルで、うち35億立方メートルはセルビア、10億立方メートルはオーストリアを経由して輸送される。セルビア・ルートでは今年10月に稼働を開始する相互接続パイプラインが利用される。同相は今回の合意について、以前の契約よりも価格面で有利なものだと述べた。

ハンガリーは1995年にガスプロムと長期契約を結び、2016年に失効してからは1年ごとに契約を更新していた。

ガスプロムの2020年のハンガリーに対する供給量は86億立方メートルで、前年の105億立方メートルから減少した。同年の年間消費量は102億立方メートルだった。

ハンガリーはロシア産天然ガスの大半をウクライナ経由で輸入していたが、近年は供給ルートの多角化を図っている。近隣国との間でパイプラインの相互接続を進めてきたほか、クロアチアの液化天然ガス(LNG)施設を経由して英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルから供給を受けている。

ハンガリーのオルバン首相は、2014年のロシアによるクリミア併合を受けて導入されたロシアに対する制裁措置を緩和するよう繰り返し呼び掛けてきた。同年には国営ロスアトムとの間で、パクシュ原子力発電所における原子炉2基の導入計画について合意しているが、計画は遅延している。

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