欧州委員会は7日、EUのコロナ復興基金の財源を確保するため、最大2,500億ユーロの環境債を発行すると発表した。10月から2026年末にかけて発行する。同基金に必要な資金の30%を環境債で賄うことになる。
EU加盟国が12月に合意し、創設が決まった復興基金(正式名称:次世代EU)は7,500億ユーロ規模。欧州委が市場で調達した資金をEUの中期予算に組み込み、新型コロナによる経済の打撃が大きい国に補助金と融資の形で配分する。
欧州委は物価の変動を考慮し、基金の規模を上回る8,000億ユーロを26年末までに調達することになっている。6月に起債を開始し、これまでに長期債発行で450億ユーロを調達した。
使途を環境関連事業に限定する環境債による資金調達は、欧州委が2020年9月に打ち出した方針に沿ったもの。シンジケート団引き受け方式で実施する。ヨハンネス・ハーン委員(予算担当)によると、環境債による資金調達としては世界最大規模になるという。
復興基金から加盟国に配分される資金は、各国の復興計画に基づき、脱炭素化、デジタル化などの関連プロジェクトに投入される。加盟国は復興計画を策定して欧州委の審査を受ける必要がある。
環境債で調達した資金は、復興基金の柱となる6,725億ユーロの復興・強靭化ファシリティ(RRF)に充てる。RRFでは各国に配分された資金の少なくとも37%を環境分野に投じることを義務付けている。