英ジョンソン・マッセイが電池材料事業撤退、競争激化で収益見込めず

特殊化学大手の英ジョンソン・マッセイは11日、電池材料事業から撤退すると発表した。電気自動車(EV)向け電池材料の需要が拡大する一方、中国メーカーなどとの激しい競争にさらされており、さらなる投資を正当化するだけの十分な収益が見込めないと判断した。

ジョンソン・マッセイは1817年設立で工業用触媒や貴金属化合物などを手がける。自動車排気ガスを浄化する触媒コンバータなどを主力製品とする同社は、2012年にバッテリー部門を立ち上げ、EV向け電池材料の開発に力を入れていた。しかし、同分野ではCATLをはじめとする中国メーカーのほか、仏ユミコアや独BASFなどとのシェア争いが激化している。

今回の決定について、ロバート・マクロード最高経営責任者(CEO)は「当社は優れた技術を持っているが、市場が急速にコモディティ化し、独自の製品を提供する能力が失われていく中で、資本集約的な電池材料事業から十分な利益を得ることは困難と判断した」と説明。売却により、水素燃料など他の持続可能な事業への投資を加速させることができるとつけ加えた。

一方、同社は2021年通期の収益が「市場予想の下限に近づく」と警告した。自動車業界における半導体不足やサプライチェーンの混乱、貴金属価格の高騰、米国における深刻な労働力不足などを業績悪化の要因として挙げている。

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