欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/10/20

EUその他

欧州委がハンガリーに対する調査開始、外国人の農地取得制限めぐり

この記事の要約

欧州委員会は16日、外国人による農地取得を制限するハンガリーの法律が、外国人投資家の農地を利用する権利を侵害し、資本移動と企業設立の自由を認めたEU基本条約に違反している疑いがあるとして、正式に調査を開始することを決定、 […]

欧州委員会は16日、外国人による農地取得を制限するハンガリーの法律が、外国人投資家の農地を利用する権利を侵害し、資本移動と企業設立の自由を認めたEU基本条約に違反している疑いがあるとして、正式に調査を開始することを決定、同国に対して正式通知書を送付したことを明らかにした。

ハンガリーで2013年12月に施行された新土地法は、特定の用益権に関する契約について、14年5月に終了することを認めている。欧州委は、旧法の下では20年と定められていた契約終了までの猶予期間がわずか約4カ月半に短縮されたことを問題視。新法の規定は、旧法に定める猶予期間に基づいて農地に投資した投資家の既得権を奪い投資価値の低下をもたらすとの見解を示した。新法にはこのほか、20年以上前に結ばれた農地のリース契約を一方的に終了することを認める条項も盛り込まれており、これについても、用益権に関する契約の条項と同様に外国人投資家の権利を侵害するとしている。

欧州委の決定を受け、ハンガリー与党のフィデス(ハンガリー市民同盟)は、「強力なロビー団体を背景にした新たな攻撃だ」と反発。政府は「内外の圧力に屈することなく」あらゆる手段を講じて法律を擁護し、「外国の投機筋に対抗してハンガリーの農家の利益を促進するべきだ」との声明を発表した。

ハンガリー政府は通知書を受け取ってから2カ月以内に対応することが求められる。欧州委は、対応が不十分であると判断した場合は理由付き意見書を送付し、それでも改善が見られなければ最終手段として欧州司法裁判所に提訴することになる。