EBA、ESGリスク開示ルールの最終草案公表

EUの欧州銀行監督機構(EBA)は24日、域内の銀行に環境や社会問題、ガバナンス(企業統治)に関連したリスクについての情報開示を義務付けるルールを補完する実施技術基準(Implementing Technical Standards=ITS)の最終草案を公表した。気候変動など環境問題の解決に寄与する事業活動の評価指標として「グリーン資産比率(green asset ratio=GAR)」と「銀行勘定タクソノミー連携率(banking book taxonomy alignment ratio=BTAR)」を導入し、各行に開示を求めることが柱。欧州委員会の承認を経て実施に移す。

金融機関に対する環境・社会・ガバナンス(ESG)リスクについての情報開示ルールは、欧州委員会が18年3月に発表した「持続可能な成長のための金融(サステナブル・ファイナンス)に関する行動計画」に基づいて策定されたもの。情報の透明性を高めて気候変動対策をはじめとするサステナビリティ事業への投資を促す一方、環境問題への取り組みを誇張して投資家をミスリードする「グリーン・ウォッシング」を排除することを主な目的としている。

最終草案によると、域内の大手銀行は2023年以降、炭素集約型事業や、気候変動によって洪水や火災などのリスクが生じる可能性のある資産に対するエクスポージャーを開示しなければならない。また、化石燃料事業を手がける顧客との取引状況や、融資先の温室効果ガス排出量、50年の気候中立目標との整合性についても詳細な情報を提供する必要がある。

さらに24年から新たな評価指標としてグリーン資産比率(GAR)と銀行勘定タクソノミー連携率(BTAR)を導入し、各行に開示を義務付ける。GARは各行のバランスシートに占める環境関連の融資や株式保有額の割合を指す。EU共通の分類体系(タクソノミー)に基づいて持続可能な資産かどうか判断され、例えば融資の対象を化石燃料関連の事業から再生可能エネルギー関連のプロジェクトに切り替えた場合、GARが大きく上昇することになる。一方、BTARは銀行の活動がEUの気候目標にどのように貢献しているかを評価し、持続可能な活動にどの程度融資しているかを示す。

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