半導体大手の独インフィニオンは17日、マレーシアのクリム工場内に新たな生産施設を設置すると発表した。車両の電動化や再生可能エネルギー発電の増加を背景に需要が伸びている化合物半導体の生産能力を拡大。電力を調整するパワー半導体の最大手としての地位を強化する。
20億ユーロ強を投じて新工場を建設し、化合物半導体のSiC半導体とGaN半導体を製造する。6月の着工、2024年夏の完成、同年下半期の出荷開始を予定している。900人の新規雇用を見込む。フル稼働体制に入るとSiC半導体とGaN半導体の売上高は年20億ユーロ増えるという。SiC半導体については売上高を20年代半ばまでに10億ドルに引き上げる目標だ。
SiC半導体を電動車に搭載すると走行距離を伸ばしたり、電池を小型化できる。またGaN半導体には電力損失が小さく、エネルギー効率が高いなどの強みがある。両半導体はこれまで利用されてきたシリコン半導体に比べ高額なものの、メリットが大きいことから需要が伸びている。
半導体工場の新設には巨額の資金が必要となる。このため半導体メーカーはこれまでファウンドリーと呼ばれる受託製造企業に生産の一部を委託しコスト削減を図ってきたが、現在は半導体需給のひっ迫でアウトソーシングのリスクが高まっていることから、内製を拡大しなければならなくなっている。