ロシア中央銀行は2月28日の緊急理事会で、主要政策金利の7日物入札レポ金利を9.5%から10.5ポイント引き上げ、20%とすることを決めた。中銀は11日に1ポイントの利上げを実施したばかり。ウクライナ侵攻を受けた欧米の経済制裁で通貨ルーブルが過去最安値に下げる中、通貨防衛とインフレ抑制のため大幅利上げに踏み切った。
同国の1月のインフレ率は前月を0.3ポイント上回る8.7%に拡大し、中銀の目標値である4%を15カ月連続で上回っている。強い内需に対する供給不足や食品価格の高騰などが理由だが、通貨安で輸入品価格の上昇が進みインフレ率を押し上げる懸念が強まっている。28日にルーブルの為替相場は対米ドルで一時、1ドル=119ルーブル台まで急落し、史上最安値を更新した。
ロシアへの制裁をめぐっては26日、EUと米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダの6カ国が国際的な決済網「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアの金融機関を排除する追加の金融制裁を科すことで合意した。EUは28日にも米国と足並みをそろえ、ロシア中銀との取引禁止と、中銀によるユーロ建ての外貨準備の利用を制限する追加制裁を発動している。 中銀は今回の緊急利上げについて、ロシア経済に対する外部環境の「劇的な変化」が理由だと説明。さらなる利上げを行う用意があると明言した。