EU3機関、公共調達の公平な競争確保の規則案で合意

EU加盟国と欧州議会、欧州委員会は14日、公共調達市場における公平な競争条件の確保を目的とする「国際調達措置(IPI=International Procurement Instrument)に関する規則案」の内容で基本合意した。保護主義的な貿易政策を進める中国などを念頭に、域外国の公共調達市場でEU企業に対して制限的もしくは差別的な扱いが認められた場合、欧州委員会が当該国の企業に対し、EU側の公共調達市場へのアクセスを制限できるようにする内容。閣僚理事会と欧州議会の採択を経て、早期の新ルール導入を目指す。

国や自治体による公共調達の支出額は各国の国内総生産(GDP)の平均10~20%を占め、市場規模は世界全体で8兆ユーロ(約1,050兆円)を超える。EUの公共調達市場は世界で最も規模が大きく、最も開かれた市場の1つだが、多くの域外国では国内企業を優先してEU企業の参入を事実上制限しており、EU企業が不利益を被っている。

欧州委はこうした市場アクセスの不均衡を是正するため、2012年と16年にIPI規則案を提案したが、手続きの煩雑さや規則案の保護主義的な側面などから一部の加盟国が反対し、長年にわたり進展がみられなかった。しかし、中国などの新興国が保護主義的な政策を推進する中、EUの利益擁護のために対抗手段が不可欠との認識が広がり、加盟国は21年6月にIPI規則案で合意。欧州議会と欧州委を含めた3者間で法案成立に向けた協議が進められていた。

規則案によると、域外国の公共調達市場でEU企業に対して不公平な慣行が行われている疑いがある場合、欧州委は実態を調査し、制限的な措置の有無を判断する。当該措置が制限的と判断した場合、当該国の企業が関与するEU側での入札に際し、入札額の上乗せやマイナス評価といったペナルティを科すことができるようにする。また、当該国での制限レベルによっては入札から排除することも可能となる。

欧州委のドムブロフスキス副委員長(通商担当)は声明で「公平な競争条件はEU企業が国際競争力を維持するうえで不可欠だ。EUは公共調達市場を開放しているが、多くの第三国では事情が異なり、EU企業はいまだに不公平な障壁に直面している。われわれはこうした問題に対処するため第三国との対話を継続していくが、IPI規則を通じてEUは公正な競争を促進するための影響力を強めることができる」と強調した。

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